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兼本春篁御軸を含む。
鵬雲斎らしい勇ましい書体で揮毫されております。裏千家御家元の御軸ですので大切なお茶会にも安心してお使いになれます。歴代宗匠も好んで揮毫されていた有名な禅語で、常識やこだわりを捨て去ることで、思いもよらなかった未来が訪れるかもしれない、つまりどんなことにも可能性はあるんだよという、とても素敵な意味が込められています。共箱は蓋裏に『鉄船 鵬雲』と署名されております。表装裂は上下「浅黄地古代絓」、中廻し「菱唐花紹巴」、一文字・風袋「手逢竹屋町」が使用されております。箱裏に表具師の印が捺されています*写真⑪。写真⑫は正座して床を見上げたイメージです。近くで観察しないと判らないのですが、小さなシミがあります。写真⑬⑭⑮でご確認下さい。若干の巻きジワ(本来のもの)はありますが全体の状態は良好です。紙箱の蓋一部分が欠損しております*写真⑯。
『鉄船水上浮』
【読み】
てっせんすいじょうにうかぶ
【意味】
鉄でできた船が水上に浮かぶ。「鉄船」は重い鉄で作られた船で、浮かぶことはないと考えられていたため、不可能なことの譬喩に用いる。典拠となる「龐居士語録」では、「煩悩を捨てて菩提に入ろうとしても、仏の境地に至ることなど到底できない。自己の生を全うしようと欲するなら、まずは仏も殺すこと。殺しつくしてはじめて安泰となる。ここのところが分れば、鉄の船でも水に浮く」という文脈で使われている。妄想や執着をことごとく捨て去れば、鉄船が水上に浮かぶように、分別常識を超越した別世界が開ける、という文脈の中で用いられる。
共箱。紙本。塗軸。
長さ192.5㎝ 幅30.2㎝(表装を含む)
*長さがありますので、床の高さをご確認の上ご購入下さい。
▢裏千家15世鵬雲斎玄室(ほううんさいげんしつ)
大正12年(1923)~現在
茶道裏千家15世家元。現大宗匠。大正12年京都に生まれ、同志社大学法学部経済学科卒。昭和18年から終戦まで海軍に入隊在籍。戦後は大徳寺管長瑞巌禅師に参禅、得度して鵬雲斎玄秀宗興居士と号する。昭和39年、父淡々斎の遺業を継ぎ内外各地に活躍し今日にい至る。
【参考文献】
茶人の花押 小田榮一著 河原書店
茶掛の禅語辞典 淡交社
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